今注目のパラリピアン!ドイツのリオ代表候補、義足の走幅跳選手マルクス・レームさんがすごい。

もう、リオオリンピックまで残り一ヶ月を切りました。

オリンピックへ向けて、様々なアスリートが注目される中、今パラリンピックへの注目が高まっています。その中でもドイツの走り幅跳び選手のパラリリピアンをご紹介します。彼の名前はマルクス・レームさん。義足の選手です。

ドイツの走り幅跳において、健常者に混じった大会で堂々たる成績を残すなど、「障害者」とは思えないほどの身体能力を発揮しています。今回はそんな彼のスゴさと陸上にかける思いについて、リサーチしたことをまとめました。

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マルクス・レームさんのプロフィール

1988年8月22日生まれの27歳(2016.7.16現在)。ドイツ出身。2003年夏、ウェイクボードの練習中に事故に遭い、右足のひざ下を切断。しかし、05年にはウェイクボードのドイツ・ジュニア選手権で準優勝。08年からTSV バイエル04レバークーゼンに所属。09年、IWASジュニア世界大会で走り幅跳びの優勝者となり、翌年は同大会で走り幅跳びと100M走、200M走の3冠を達成した。12年のロンドン・パラリンピックでは、走り幅跳びで金メダル、400Mリレーで銅メダルと活躍。15年10月、自身が持つ障害者(T44)の幅跳び世界記録を更新する8M40を飛んだ。義肢装具士のマイスター資格を持つ。

健常者に打ち勝ち、ドイツ選手権大会を優勝

彼のすごいところは健常者たちと競り合うことが出来てしまう点です。

2014年のことです。健常者の混じったドイツ陸上選手権で優勝したことが、陸上界に衝撃を与えました。その時の記録が8m24cm。この記録はロンドンオリンピックのメダルに手がとどくほどの素晴らしい記録でした。

8m24cmを記録した時の映像

さらに衝撃的な出来事が2015年10月に起こります。カタールで行われた障害者陸上競技選手権で、8m40cmという大記録を達成したのです。この世界記録を樹立したことを今まで支えてくれた家族や周りの人たちも大喜び。マルクスさんもこの記録に対しては「これよりも良い結果は望めないというくらいの成果だと思います」とベストを尽くしたという感想です。

8m40cmを記録した時の映像

 

しかし、悲しいことに、こうした大記録を更新するたびに「義足の公平性」をめぐって議論が繰り返されています。

ドイツ選手権で優勝。しかし注目されるほど義足への不信感が高まる。

2014年のドイツ選手権で優勝したことにより、マルクスさんの注目度は一気に高まりました。ですが、その一方で義足に対する否定的な意見がたくさん出てくるようになりました。「カーボン製の義足のおかげで記録を伸ばしている」など、義足への不信感を抱く人が増えてきたのです。
マルクスさんにとってドイツ選手権への出場は非常に意味のあるものだと考えていました。健常者の選手たちと一緒に競技すること自体に意義があると思い参加を申し出たのです。そのため、記録も同等に扱ってもらわなくてもOKという姿勢で出場しました。それに対し、ドイツ陸連側は記録を同等に評価をし、マルクスさんの出場を許可していたのです。
にもかかわらず、優勝したら「彼は義足…」という評価をされてしまったのです。
マルクスさんにとって義足は自分の体の一部。義足は市販されているものを使っているし、義足の人であれば、誰でも同じものを購入できると語ります。世界記録を出したときも、ドイツ選手権で優勝したことも、全てトレーニングの賜物であるはずです。しかし、このような否定的な意見が飛んでくることをマルクスさんは非常に残念に思うといいます。マルクスさん自身はこのように「義足が一種の記録を伸ばすための魔法の道具」といったような平等な評価がされないのであれば、2014年のドイツ選手権の優勝も取り消してほしいと申し出ていました。
今はまだ健常者と障害者とが一緒に競技することへの「公平性」について焦点が当たっています。このように問題点ばかりが目に入ってしまいがちです。しかし、いつか健常者と障害者が共に競技することを、誰もが有意義だと思える、納得できる仕組み作りが出来上がることを願っているとマルクスさんは語っています。

障害者の間では常に圧倒的な差で勝っているマルクスさん

ドーハで行われた障害者世界陸上で、マルクスさんは優勝しました。
その時の2位の選手との差はなんと1メートル以上ありました。陸上界ではこの差は大きなものです。なので障害者の間では世界のトップで戦っているマルクスさんです。
もっと高みを目指すために戦いの場を健常者の大会へ求め、数センチ差が勝敗を分けるというもっと緊張感のある状況に身を投じてみたいという思いがあったのです。
大会で障害者が健常者に打ち勝つ形で優勝したことにより「疑問」が湧いてくる気持ちはわかるというマルクスさん。しかし、記録を更新する度に「義足は卑怯である」という否定的な意見があることは残念であると語ります。

義足は自分の個性。考え方次第でプラスに働く。

マルクスさんは2008年に事故に遭い、病院の中で14歳の誕生日を過ごしました。
足を失うこと自体、私たち健常者には計り知れないとてもショックな出来事です。マルクスさんは青春真っ只中に右足を失いました。それまで障害者とも接したこともありませんでした。スポーツ好きなごく普通の少年が、一瞬にして不自由な生活を余儀なくされたのです。
事故に遭うまでは障害者は弱く、守られるべき存在であると認識していたため、絶望したと言います。しかし、マルクスさんは自分がどういう存在であるかは自分で決めることができるという信念がありました。どんな姿であろうと、考え方次第で運命を変えることができると考えたのです。
マルクスさんはスポーツに夢中でした。右足を失う前は運動神経に自信があり、スポーツが自分の人生そのものでした。義足になってからも、自分の信念を貫き通し、スポーツという分野で再び活躍できるようになったことはとても感動的であり、素晴らしいことであると筆者は思います。
どんなに絶望的な状況に置かれても、自分が望むところに少しでも可能性を感じたら、積極的に飛び込む姿勢が大事であるとマルクスさんから感じ取れました。