人類の夢、マラソン2時間切りを目指すNIKEのプロジェクト「Breaking2」の実態とは?

現在、100mにおいて人類最速を誇る人物はジャマイカのウサインボルトであることはご存知かと思います。

その世界記録は2009年の世界陸上ベルリンで記録された9秒58。

人類が初めて100mにおいて10秒台の壁を破ったのは今から59年前の1968年。アメリカのジムハインズによって9秒95という記録をもって突破しました。

ちなみに日本人選手は、まだ誰も100mで10秒の壁を破った選手はいません。

陸上界の歴史上、100mで10秒という人類にとって大きな壁があった一方で、マラソンにおいてもそれに匹敵するレベルの大きな壁が存在しています。

それはマラソン2時間の壁です。

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マラソンの世界記録挑戦への足がかりはシューズメーカー

現状のマラソンの世界記録は2014年にベルリンで樹立されたデニス・キメットが持つ2時間2分57秒です。

この記録は42.195kmを時速21kmで走りきるという驚異的な記録なのです。ちなみに僕の1000mの記録は3分10秒なのですが、キメットの記録はそのペースよりずっと速いペースで約42kmを走りきます。すごい速い。

僕が本気で1000mを走ったとしても、彼らにとってみればマラソンで走る約42kmの、どの1000mの区間を抜き出したとしても彼らには圧倒的に勝てないのです。まさに超人とはこのことです。信じられない。

マラソン2時間切りを達成するためのプロジェクト発足

マラソンの2時間切りという人類の夢を達成するべく、ナイキが2時間切りという意味を込めて「Breaking2」というプロジェクトを今から2年以上前に発足しました。

2016年の12月、ナイキは2年間に及ぶ研究からマラソンのタイムを2時間切りするという目標を達成するためのチームがあると発表しました。その2時間切りの世界記録を達成するための舞台となる時期は探す限り、まだ情報が見つかりませんでした。

それまで2年間もの間、ナイキの研究チームは目標を達成するであろう選ばれし選手のために最善を尽くしてきたことでしょう。

今回はそんな「Breaking2」というプロジェクトは一体どんな過程を経てマラソン2時間切りに備えるのかを紹介していきたいと思います。

2時間切りの世界記録に挑むために採用された選手

ナイキは「Breaking2」のために、記録の伸び代も考慮した2時間の壁を破る可能性のある世界で最も有力な長距離選手3人を採用しました。

エリトリアのハーフマラソン選手のゼルセナイ・タデッセ(彼のベスト記録は2時間10分台だが、伸び代を見込まれて採用された)。

ボストンマラソンで2度の優勝経験のあるエチピア出身のレリサ・デシサ。

そして、2017年リオオリンピックの金メダリストであるケニアのエリウド・キプチョゲ選手です。

この3人の選手が実際に世界記録を目指す「Breaking2」の立役者となるわけです。

そして、その選手を支える裏方としてサポートするのが、科学者やデザイナー、医者やトレーナーといったチームで構成された面々です。

この裏方チームによって選手の走りを減速させるあらゆる可能性を潰し、手助けしなくてはいけない立場となります。

彼らのミッションはトレーニングメニューや食事の管理。ランニング中に受ける空気の流れを計算し、推進力の邪魔しないよう空力特性の事を考慮したウェアの設計。

レース中の選手の特性に合わせたランニングペース配分の戦略。

そして選手に合わせたランニングシューズの開発など、選手の記録向上のためにあらゆる科学を集結し、人類史上最速のタイムを目指すための計画を練っていくのです。

そして、それらの戦略を駆使して導き出された人類が到達するであろう最も速いタイムを計算した人物がいます。

アメリカの麻酔医であるマイケルジョイナーが計算したマラソンを最速で走るための生理学的な限界が1時間57分58秒と結論づけました。これは向かい風がない、気候が安定しているなどの完璧な条件下での想定された人類の限界です。

マラソンは一般的に市街地を走るため、レース場所によって記録が出にくい状況があります。

向かい風であったり、気温が高いなどです。またひどい時はアテネ五輪のようにマラソンのレース中に男がコースに乱入し、選手を妨害するという事件も起きることもありえます。

こうした予測できないアクシデントに見舞われることがあるマラソンは、レース中に起こる不測の事態が起こらないようにしなければいけません。なのでマラソン選手のタイムを縮める条件は日々のトレーニングに限らず、レース環境を良くするという認識が必要です。

マラソンランナーが最高のタイムを出せる良い条件としては、カーブは極力少なくし、気温は身体がオーバーヒートしないように低く。

無風の状態をつくりあげ、2時間切りのペースを把握できるようペースメーカーを常につける必要があるでしょう。また案外大事なことは巨額の報酬を与え、選手のモチベーションを上げることです。

このように金銭的な面でも注目度の面でも大規模になりそうな「Breaking2」の今後のプロジェクトの行方が非常に気になります。