こんにちは。
三連覇がかかるリオ五輪はボルト選手にとっては非常に重要な年になるはずです。今回はそんなボルト選手の強さの秘密について、スポーツ科学、心理学、食という様々な視点から徹底分析してみます。
目次
強さその①|体格を生かした大きな歩幅

ご覧下さい、この大きな体を。横に並んでいる同じジャマイカのヨハン・ブレイク選手(200m世界歴代2位の記録を持つ)は決して小さいわけではありません。
ヨハン選手は180cmありますから。ところがボルト選手は196cmあるもので、他の選手とは比べ物にならないほどでかく見えるわけです。
そしてその体格を生かした大きな歩幅については、一歩で最大275cmにも達します。その大きな歩幅を生かし、100mをわずか41歩で走りきるのです。しかし、100m選手において、大き過ぎる体というのは、メリットばかりではありません。デメリットも存在します。
スタートダッシュが不利な大型選手
しかし、ボルト選手の強靭な筋肉。そして100mを本格的にやり始めた頃からスタートダッシュに力を入れていた。この二つの要素について強化をし続けていることが理由です。
特にスタートダッシュの改善については苦手だからこそ、念入りに練習していたそうで、今ではボルト選手のスタートは爆発的な動きが印象的ですね。
強さその②|坂ダッシュのおかげ?!強靭な大腰筋でスタートが得意に
爆発的なスタートダッシュの根拠は強力な大腰筋
ボルトと同じジャマイカの選手である100mのアサファ・パウエル選手がいます。
パウエル選手もボルト選手と同様に一歩目から大きな歩幅でスタートダッシュをする選手です。彼は以前にNHKの番組において、取材を受けたことがあります。その際に日本人100mトップ選手である朝原宣治さんと腹部のMRIを撮ったことがありました。その時の写真がこちらです。

もう一つ、ボルト選手のスタートダッシュが早い理由の一つにジャマイカの地形に秘密があると考えられます。
ボルト選手の練習拠点はジャマイカのキングストンという地域です。ボルト選手の場合、練習場所と大腰筋の発達は関係していて、地形的に坂が多いキングストンではよく坂ダッシュを練習の一環として取り入れられていることは事実です。
大腰筋は地面を蹴った後の、後ろへ流れた足を前に運ぶために重要な筋肉の一つです。
強さその③|後半にかけてのスピードの落ちが少ない
ボルト選手の走りの特徴の一つとして、後半のスピードの低下が少ないことが挙げられます。
100mにおいて65m付近で最高時速44キロに達します。しかも、90mを過ぎるまでほとんど遅くならないという結果があります。このスピード維持能力は一体どこから来るのでしょうか?
このボルト選手のスピード維持に大きく貢献している要素は3つあります。
大臀筋が非常に強い
ボルト選手の場合、大腰筋が他のアスリートより発達しているので後半の走りについても疲労に負けずに、スピードを維持できているわけです。
蹴った足を伸ばしきらない走法
下のガトリン選手とボルト選手の写真をみてください。両者とも蹴った足は伸ばしきる前に、次の一歩に向けて前方へと足の運びを開始していることがわかります。何が言いたいのかというと、足の回転が効率的であることを示しています。

ボルト選手

普通は下記写真のように、地面を蹴った足は伸ばしきってしまうのが普通なのです。
一方で、足を伸ばしきらない走法については、地面を蹴った足が完全に伸ばしきらないまま前方へ運ぶことができます。
この方法であれば伸ばしきるという余計なエネルギーを消費しなくていいため、省エネな走りが可能です。また、何より足の回転する流れについて、足を伸ばしきる走法と比べ、近道ができています。つまり、足の回転が速く動きやすいというメリットがあるのです。
レース前からのふざけた表情や動き
ボルト選手のレース前は非常にリラックスしています。笑ったりふざけたりとおどけてみせます。実はこのボルト選手の人柄こそが後半の走りを支えている要素であるとも言えます。
このリラックスした状態が常にあるので、これが筋肉にも影響し、走りの後半までスピードを維持できるような無駄のない走りを実現させているのです。
強さその④|クネクネとした走りがボルトの速さ
どういう症状かというと下の写真のように背骨がS字に曲がっているのです。

この曲った背骨というリスクを背負っていたため、長年、200mを専門にしていたほどでした。
いずれにせよ、このクネクネとした走りがボルト選手の味方になっていると考えられます。体の揺れと走りのタイミングについて、どこに力を入れれば効率的に走れるのかを自然と身につけたのかもしれません。
ヤムイモで速くなった?
