100mや200mなどの短距離種目で記録を出したいと思ったら、スタートダッシュというのは非常に重要です。
なぜなら、短距離種目において、スタートというのは静止状態からいかに速く走れるように流れを作ってあげることがタイム向上のポイントでもあるからです。
100mなどスタート以降の後半戦の局面は速くても、意外とスタート段階は改善の余地があるという選手はたくさんいるものです。
つまりスタートは技術次第で速くなるものでもあります。
短距離では後半戦の走りにスムーズに移行できるように、いかにスタートダッシュを決められるか がポイントの1つです。
そのためにはどうすれば良いか?
1つはトップアスリートの動きを参考にすることです。
今回はそのスタートダッシュの中でも世界トップレベルの速さを誇る選手の動画をご紹介します。
そして、ご自身の100m記録向上のヒントにしていたでければと思います。
60m世界記録保持者コールマン選手のスタートダッシュの映像
下記2つの動画は60m世界記録保持者であるクリスチャンコールマン選手(アメリカ)の動画です。
消されたら申しわけないのですが、消されてもいいように動画を2つご用意しました。
一歩目から大きな動き
映像を見ていかがでしたでしょうか?
まず、大きな特徴として一歩目から大きな歩幅、かつ一歩目の足が地面いつくまでのスピードが早い ということがうかがえます。
1つ目の上の動画では隣の選手よりも一歩目の足が地面に着地するまでのタイミングが早いことがわかります(動画上の奥の選手がコールマンで手前が他選手)。
これはスタートから早いピッチを実現しながら、大きな歩幅を維持できている点がコールマン選手のスタートの優れている特徴です。
足の運びが水平方向
今度もコールマン選手のスタート一歩目の足に注目です。
コールマン選手の一歩目の足の運びを見てみると、足の運びが非常に低い ことがわかります。
この動きのメリットとして、スタート時に最短で足の運びをもっていけているので、通常よりもピッチを早くすることができます。だからコールマンおスタートは一歩目から早いのです。
ですが、もちろんこの足の運びの低さは通常の選手だとスタート難しい技術の部類です。
なぜかというと、スタートダッシュ時点でこのような低い足の運びをする動きをとると、非常に大腰筋のエネルギーを消費しがち な技術だからです。
こういった足の運びが低いスタートダッシュの技術をエクスプローシブスタート(爆発的なスタート)とも言います。
メリットとしては歩幅を大きくスタートから踏み出せるので、うまく走ることができればより早いスタートダッシュが実現できます。
逆にデメリットとしては走りの後半戦がバテやすいことです。
現にコールマン選手は100mでは前半型の選手です。後半の走りになるにつれ、他選手に距離を縮められてしまうという場面はいくつかのコールマン選手のレースを観察していて感じます。
ジャマイカのアサファパウウェル選手(前100m世界記録保持者)やウサインボルト選手(100m200m世界記録保持者)もこのエクスプローシブスタートを使いこなしてスタートを切っていますが、これは強靭な肉体がないと成せる動きではないでしょう。
普通だと100m、200mの後半の走りがバテる傾向にあるのです。
あまり日本人選手でエクスプローシブスタートを行う選手はいません。唯一日本トップ級選手では桐生祥秀選手が採用しているくらいでしょう。
桐生選手がエクスプローシブスタートを採用している背景としては東洋大学時代に海外で練習する機会を増やした中で海外選手の影響を受けた可能性はあります。
なのでエクスプローシブスタートは海外に行くなどのかなりの影響を受け、覚悟がないと挫折すらしてしまうかもしれません。
ですが、やらないで後悔するのは非常にもったいないと個人的には思うので、ぜひコールマン選手のような爆発的なスタートを目指したいという選手は挑戦して見てはどうでしょうか!