他のスポーツもそうですが、陸上競技を長年やっているとスランプに陥ってすごくくじける時期 があります。
特に陸上競技なんかは努力は報われないことが多いです。スランプが他のスポーツより多い気がします。なので日本選手権などで昨年優勝した選手が今年はスランプで決勝にすら残っていないなんてザラにあるほどです。
陸上競技は繊細なスポーツで自分の身体のみで勝負する以上、食事や体調管理の質がパフォーマンスにモロに出ることも多いスポーツ。
僕が専門としている棒高跳なんかはそういう体調管理や食事管理がかなり競技に影響してきます。
棒高跳は体重変動が記録に与える影響が大きい種目だからです。
棒高跳ではあらかじめ自分が決めたポールの反発(例えば70キロ)を選びます。試合直前に以前より食べ過ぎたりして体重が重くなってしまうとポールの反発は小さくなるため、身体が上にうまく跳んでくれない結果になってしまいます。
少し難しい話になったかもしれません。言いたいことはつまり、こういった体調管理が影響して記録が落ちることがあるということです。しかし自分の経験上ですが、体調管理がスランプを招くことはほとんどないでしょう。
スランプの本当の怖いところはさっきもお話しした通り、陸上競技は努力が報われないことが多いところにあるからです。
その理由は先ほども言いましたが、陸上は繊細なスポーツであるから です。
陸上で自己記録が出る条件に関しては「その日の体調」「日々の食事」「日々のトレーニング」「その時の精神状態」「疲労状態」「天気」など、挙げだしたらキリがないくらいに沢山の要素が合わさって最高のパフォーマンスが実現するわけです。
毎回、そのどの条件でも欠けると自己ベスト更新の確率は一気に下がります。
スランプというのは、今挙げたたような自己記録が出せる条件のどれかが長期的に欠落することで引き起こされるものです。
僕の場合、スランプについては高校生、大学生のころに経験しています。どんなことが起きたかというと試合まで非常に調子がいいのに、試合当日になると嘘のように自分の力が発揮できずにいました。結果、記録なしを連発してしまう時期があったのです。
その時に今の弱い自分と比べて、最高のパフォーマンスを出すためにはどんな条件が必要なのかということを書き出してみると、自分に足りないものは精神的な要素でした。
具体的には気持ちが萎縮 していることに気づいたのです。試合では「絶対自己ベスト出して跳んでやるぞ!」とかではなく「失敗しないように頑張るぞ! 」という保守的な気持ちにっていたのです。
なので試合時に精神状態をハイにさせる方法を調べて、欠けた条件を埋めることで、自己ベストを出すことができたのです(棒高跳20cm記録更新)。
しかし、陸上競技は自己ベストの条件をどうしても満たせない時があります。これが多分スランプだと思うんです。練習の質や量に関係なく急に記録が伸びたり落ちたりする。
スランプはどうしようもないものとして割り切る
陸上競技以外のスポーツ、例えば球技はスランプは陸上競技よりすくないです。卓球なんかの場合は基本的には経歴が長いのと比例して、その能力も高くなります。
卓球の福原愛ちゃん、石川佳純ちゃん 、ゴルフの松山英樹みたいなトップ選手なんかはみんな幼いころから、ずっと卓球一筋で努力してトップに立った人間です。もちろん常にどんな状況で誰に対しても同じ強さであるとは限らないですが、陸上のように急に能力が上がったり落ちたりすることは少ないです。
ところが、陸上をやってない人でも始めから足が速い人もいれば、始めから跳ぶ能力が高い人がいます。そういう陸上初心者がスポーツを長年やってきた人に簡単に勝ってしまうことが起きるのも、陸上競技におけるスランプの辛いところでもあると思います。
そうなると「練習なんかしても意味ないじゃん」って思ってしまうかもしれませんが、もちろん練習はしたほうがいいです。結局は練習しないと伸びないから。矛盾してるようだけどこれが現実です。
それに、楽してジグソーパズルを完成させてもなんの面白みも感じないのと一緒でスポーツでも同じことが言えるのではないでしょうか?
せっかく陸上競技で頑張っているのだから、スランプの時期も含めて楽しいと思えることが重要です。練習することが義務化してなんの楽しさも見い出せないで練習するより、あれこれ考えながら、そして楽しみながら練習をすることで成長するための新たな気づきが生まれていくと考えています。
僕はスランプに陥ったときでもそうやって楽しく練習をしていました。
だからこそ10年以上同じスポーツをやってこれてるんだと思います。プラスα、スポーツが一緒にできる仲間がいる楽しさはとてもいいものがあります。
似た者同士、同じ辛さ・同じ楽しさを同じ空間で過ごせる瞬間はまさに青春です。僕は練習は大学から基本的に一人で行っていて、仲間同士練習することが久しいですが、仲間がいることはとても羨ましいです。
仕事でもなんでもそうです。ぜひ仲間を大事にしてあげてください。
そしてスランプに関して一番思うことは、スランプはいつか抜け出せる。
楽しいと思えるような方法を模索して陸上をやってくことで、いつか自然とスランプは抜け出せると信じることが大事なんだと思います。
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