あなたは人に与えることをしているでしょうか?
親切であったり、「ありがとう」をしっかり言うだったりと、人に何か与えることはそう難しくありません。
人によっては自分のことばかり考えて、相手の成果を自分の物にしようとする悪人のような人は社会にはゴロゴロいるでしょう。
そういった人たちはいつか嫌われ、中途半端な成果に終わってしまうのだと思います。
じゃあ、与え続ける人が良いのか?っていう疑問にたどり着きます。
結論から言うと、与え続けることが社会的に成功するということが心理学的にわかったのです。その情報源は「ギブアンドテイク」という著書。
結構良書だったので、今回紹介していきたいと思います。
目次
著者紹介
それでは早速、簡単ではありますが著者紹介からいきます。
著者はアダムグランド。心理学者です。
専門は組織心理学で、Googleやゴールドマンサックスなど、一流企業でコンサルティングや講演活動を展開しています。
アダムグランドさんの一番注目すべき経歴は35歳でペンシルベニア大学ウォートン校の史上最年少の終身教授に就任していることです。
ウォートン校はアメリカで一番最初に設立されたビジネススクールで、世界的に高い評価を受けているビジネススクールの1つ。
要はアダムグランドさんはとても優秀だということ。
そんなとっても優秀な人が書いた著書「ギブアンドテイク」を紹介して行くのが自分は楽しみです!
世の中には3種類の人間がいる。
それでは本題に入っていきます。
この著書では世の中には主に三種類の人間に分けられます。
- ギバー
与えることを目的にする人。与えても見返りを考えない親切な人。 - テイカー
相手の資源や時間を奪い、自分の手柄にしようとする人。基本的には自分が有利になるように動く人。 - マッチャー
ギバーとテイカーのバランスを取ろうと計算する人。与えるときは見返りを求めて与える。逆にもらうときは、後に与えなければならないと計算して行動するタイプの人間。
上記が本書で出てくるベースの考え方です。この考え方を基準に話は展開していきます。
実は自分の好きな分野で社会的に成功している人、企業などにおいて上層部にいるような人たちは他人に与えることをいとわないギバーである人が多い傾向あるのです。
なので社会的な成功者を一番上にしたピラミッド構造があるとしたら、ギバーは圧倒的に最上位にいるわけです。
つまり、ギバーこそが世の中で1番成功しやすい特徴を持った人といいます。
一方、テイカーとマッチャーはピラミッドの中間層に位置しています。
ですが、驚いたことに、ギバーはピラミッドの最上位に位置している一方で、そのピラミッドの最下層にも存在しているというのです。
ギバーが知らず知らずのうちに使っている効果的な説得術
あなたはフォルクスワーゲンの2004年のキャッチコピーをご存知でしょうか?
「乗れば、わかる(Drive it,you’ll get it)」
上記のキャッチコピーはボストンにある広告代理店が打ち出したコピーです。
そこの広告代理店では営業部門とクリエイティブ部門が分かれており、上記のコピーは営業部門の人間が考えたものでした。
その広告代理店では通常、キャッチコピーはクリエイティブ部門の人間が考案するものでした。なので営業部門の人間がキャッチコピーを打診することなど社内では御八倒なことというわけです。
この「乗れば、わかる」は売り上げに大きく貢献し、様々な広告関連の賞を受賞しています。
にもかかわらず、営業部の人間が広告クリエイティブを打診する際、いったいどんな方法をとったのでしょうか。
それは下記のような言葉で決裁権のあるリーダーに向けて相談しに行ったと言います
「ルール違反なのはわかっていますが、ご提案したいアイディアがあるんです。このコピー「乗れば、わかる」、どう思われますか?」
もしレーンがテイカーだったら、このコピーを強引に押し売りし、自分の手柄にしようとするような話し方をしたでしょう。
テイカーの場合は独断的で、率直な話し方をする傾向にありますから。
ギバーはゆるい・控えめな話し方をする傾向にあります。実はチームやサービス業などの人間関係により大きな影響力を与えられるのはギバーのような話し方です。
その理由を今から解説します。
フォルクスワーゲンの場合では「否認」と「付加疑問」を使っていて説得力が増している文章構造になっています。
「ルール違反なのはわかっていますが、…」の部分が「否認」
「どう思われますか?」の部分が「付加疑問」です。
この説得に応じてくれる可能性が高い控えめな話し方が謙虚さを感じさせ、押し売りしていない感を演出し、受け入れやすい印象にさせるのです。
意味のない仕事に燃え尽きないために
あなたは意味のない仕事は好きでしょうか?
そういう人はあまりいないと思いますが、少なくともそういう仕事をやらなければいけないときは来るでしょう。
なので、その時に燃え尽きない方法を知っていると便利なものです。
意味のない仕事で燃え尽きないようにするためには、その仕事をすることで周りにどんないい影響を与えられるかを知ることがポイントです。
例えば、寄付を募るような人の役に立てる仕事では、意外にもギバーよりテイカーの方が成績が良いという事実があります。
寄付を募る仕事はとてもつらい仕事と感じる人が多いと思います。
何度も何度も電話をかけても決まり文句をいう前に、あるいは途中で拒否されてしまう始末だから。
寄付をお願いするたびに大半の場合、断られるような非常に無意味に感じるような仕事なのです。
そんな仕事にギバー疲れ果て、仕事のモチベーションを保つのにすら精一杯でした。
献身的なギバーがなぜ?と思いますが、そういう結果になったのは集めた寄付金がどれだけ人の役に立てているかを知らされなかった場合でした。
そらから、集めた寄付金がどのようにして、人の役に立っているかをギバーに伝えた後、1週間でギバーはテイカーの成績を抜きはじめるようになったのです。
このことから、ギバーは人の役に大いに立てる仕事でもあっても、その仕事をしたことでどんな影響を与えられるかを理解していないと燃え尽きてしまうのです。
ではなぜテイカーの方が最初の成績が良かったのでしょうか?
テイカーの場合はギバーほど献身的ではないので給料アップ、成績向上など自分の利益のためにやる気を高める傾向にあります。
なので、無意味に感じるようなことをする場合は、なるべくその行いにどんな影響があるのかを探す視点を持てるようにしていくべきだと学べます。
やった仕事が前向きに認められないと、燃え尽きる。
状況が変われば、気力は回復する
長時間労働などのやりたくもない仕事から気力を回復させる方法があったらいいと思いませんか?
人が気力をなくすのは変化のないことを続けることです。
実は人間は働くことに疲れるのではなく、変化のない仕事に飽きるから疲れるということがいえます。
与えても与えても貢献した感覚かま得られない時はあるでしょう。
そういう時は与える対象を変えてたり、その仕事から自分が与えられるポジティブな絵影響力を考えてみるというのも1つの戦略です。
お金持ちになりたければギバーになれ!ただし..
ギバーには実は種類があって、他社思考型ギバーと自己犠牲型ギバーが存在しています。
ギバーは金持ちが多いそうです。与えることでやりがいを感じ、やる気がみなぎってくる特徴があります。
世界的にビジネスで成功している億万長者はよく多額の寄付をすることはよく知られていますが、彼らはギバーが多い傾向にあります。
彼らはお金持ちになったからギバーになったわけではなく、ギバーだからお金持ちになれたのです。
自己犠牲型のギバーだと誰でも惜しみなく自分の資源を与え続け、枯れてしまいます。
なのでテイカーなどにいいように使われて稼ぎにくくなってしまうのです。
ですが他者志向型のギバーの場合は相手と自分がWin-Winの関係になると考えられる場合に与える傾向にあります。
このように与える相手を選ぶことで、自分を犠牲にして枯れ果てるこのを未然に防いでいるのが他者志向型のギバーの特徴です。
ギバーは人に騙されやすい
ギバーは良いことばかりではありません。
ギバーは人に騙されやすいこともわかっています。
ただし、それは先ほど説明した自己犠牲型タイプの場合です。
他者志向タイプはの人は相手と自分がwin winの関係になれる時に与えるので、自己犠牲型タイプと比べて人に騙される確率は減ります。
ですが、自己犠牲型タイプの人はテイカーやどんな人に対しても与えるので、詐欺にもあいやすい傾向にあるのです。
テイカーに騙されないための、寛大なしっぺ返し戦略
ここまでギバーが相手のものを奪うばかりのテイカーに騙されやすいことはわかったと思います。
もし自分が誰の頼みごとでも引き受けてしまうYesマンだと思うのなら、騙されないように気をつけるべきです。
ではどう振舞えばテイカーに食い物にされないのか?
それは基本はテイカーのお願い事を回避しながら、ときどき引き受ける姿勢でいることです。
具体的にいうと、相手が自分の資源を奪おうという姿勢に出たら、3回に1回は大目に見てあげるのです。
これはゲーム理論で、寛大なしっぺ返しと言われるものです。人間が最も自分の利益を最大化させやすい人間関係の振る舞いというわけです。