【心理学検定】さあ、これから対人認知についての講義を始めます。

対人認知皆さんいかがお過ごしでしょうか?

4月に入り、最近では東京はほんの少しずつ暖かくなってきているように思います。

さて、今回は心理学検定の内容について触れていきたいと思います。対人認知についてです。

対人認知と聞くと難しく聞こえるかもしれませんね。これは簡単に言うと「人が他人のことをどう思っているのかという心理学のテーマの一つ」です。

本日の内容については「心理学検定基本 キーワード 改訂版」第3章の社会・感情・性格の中の 「4.4 対人認知(P128~P129)」についてお話ししていきたいと思います。このテキストに書いてある内容は正直言って難しい書き方をしています。なので僕が調べたことについて、なるたけ分かりやすく解釈した内容を紹介していきたいと思っています。基本的にテキスト中の太字を中心とした内容について記載していきます。それでは始めます。

印象形成

あなたは初対面の人に対してどこを見て大体の印象を決めていますか?

普通、人と仲良くなる時には見た目、声、たくさんの言語的コミュニケーションを重ねて相手の印象を決めているかと思います。一方でこんな印象の決め方も存在します。それは相手に対して、限定的な情報、一部の情報、人伝えで聞いた情報(間接的)というわずかな情報量でも、その人の全体的な印象を決めてしまうというものです。これは印象形成といいます。

この事はマスコミ報道でよく使われる手法です。ある政治家について、いつもネガティブな発言や不機嫌そうな表情のみを抜粋してニュース報道されたことがありました。そうすると視聴者はその政治家に対してはあまり良い印象を受けなかったという事実がありました。しかし、実際にその政治家は普段とても温厚な性格であるといいます。

このように情報のどこを切り取るかによって全く違う印象を与えてしまうことがあります。一方でこの印象形成とは逆の捉え方をするものも存在します。

ゲシュタルト説

その人の印象の作り方は、パーソナリティーの印象が決まって初めて声が高いやせが高いなどの、それぞれの個々の特徴が認識されるというものです。断片的な情報や限定的な情報から印象を判断する印象形成とは対立する考え方と言えるでしょう。

初頭効果と親近効果

アッシュは人間の印象の判断に関しては、どの順番で情報呈示するかによってその人の印象が変わる順序効果が重要であると言っています。

よって、人が出会いコミュニケーションが発生した後の印象づけには大きく分けて2通りあります。

一つは初頭効果。人は初対面の人に対して一番最初に呈示された情報をもとに大部分の印象付けをしてしまうといいます。一番長くて約半年間もの間、初頭効果がその後の印象を方向付けてしまうのです。しかし、必ずしも初頭効果によって長い間、相手の印象を方向付けてしまうかというとそうでもありません。

これはシンプルに物事を捉える人によくある傾向ですが、出会って最後に提示された情報が大きな影響を受けて印象づけをする場合もあるのです(親近効果)。

人は普段から無意識に幾つかの要素をもとに相手の印象づけを行っているものです。基本はこうです。

  • 社会的活動性
  • 信頼性
  • 魅力性

相手をどう判断するかという対人認知については個人差があります。相手を判断するのに大きく左右される要素として、その人の経験によるものが影響を受けやすいと言われています。それによってどう相手を認知するかが変わりるのです。ここで、心理学で言われている相手を正確に認知する人はどういう傾向があるのかを紹介しましょう。

ダイモンドによると、共感性の高い人ほど相手に偏見なく正確に理解できるといいます。まず共感性の高い人の特徴として「自発性」があり、相手に関心がある人が多いのが特徴です。そのため、割と多くの場面で外向的で社会的に柔軟性のある人が多いのです。相手の感情に乗った話題に対しても、共感性が高いがために柔軟な対応ができ、正確な認知をしやすいと言われています。しかし一方で認知が不正確な人も世の中にはいます。それは権威主義的傾向を持つ人がそうです。

こういう人は型にはまりやすく、よい意味でも悪い意味でも偏見の眼鏡を通して物事を見ている傾向があるからです。ただその人が東大卒だからとか、失敗したことが殆どない人だからという理由で単純に相手を判断するのです。

その他、相手の認知に関しては情緒安定性や認知的複雑性が絡んで認知の正確性を左右することがあります。

情緒安定性とは何か悪いことがあったり良いことがあったりする状況など、気持ちのレベルによって相手への認知の程度も変わってくるというものです。嬉しいことがあった瞬間には相手をポジティブに捉えやすく、逆に悲しみに暮れた状態の時は相手をネガティブに捉える傾向があるといいます。

認知的複雑性とは一言で言えば、複雑な情報を複雑なまま理解できる能力のレベルです。この認知的複雑性が低い人は自分の好みを基準として物事を判断する場合があります。

人間関係のついての認知の正確性に関しては、深い関係にある者、パーソナリティの類似をしている者同士の認知は正確である場合が多いです。もちろん、そうでないパターンもあります。

それは自分が好意を抱く相手に対してです。好意を抱いている相手に対しては一般的に自分と似た特徴を持っている者同士であると思い込む傾向があるのです。そのため、時には似た者同士という固定観念によって正確な判断ができない場合があります。これを仮定された類似性と呼びます。

その他の認知に関しては先ほどの権威の話に近い話題もあります。それはある一部の側面に関して飛び抜けた特徴を持つ者に対しては、全体的な印象も、その一部の印象に引っ張られて印象づけされてしまうこともあるというのです。これをハロー効果と呼びます。

このことに関して、例えば東大卒の男性がいたとして、それだけで全てのことが優秀であるように感じ取られてしまう現象と全く同じことが言えます。

曲げることが難しい対人認知

実のところをいうと相手への印象のつけ方を曲げることは非常に難しいことです。なぜなら基本的に人の判断は無意識のうちに経験に基づいて考えているからです。

経験による判断はその人の人生において時間をかけて固められたものであるため、曲げることは非常に難しいのです。ですがこれは決して悪いことばかりではありません。なぜなら、日々の膨大な情報を一から一つ一つ考えてから判断することは、脳が物事を正確に判断することからすると、あまりにも処理に手間がかかりすぎるし、負担が大きいのです。なので賢明な判断とは言えません。人はめんどくさいことはしたがりません。経験から学んだことを当てはめて物事を判断した方が、効率的で、はるかに早いのです。

しかし、ひょっとしたら、この考え方は一種の偏見に当たるものなのかもしれません。相手の本質を理解せずに経験から判断をしたことで、時には正確さを見失う認知にすり変わってしまう場合があるからです。この経験による認知を暗黙のパーソナリティ観(IPT)といいます。間違った判断をする場合の例として、その他にはステレオタイプという考え方もあります。

ステレオタイプとは物事を単純化して考えようとする人です。会社などの組織内においては何か迅速に判断する際には効率的ではあります。しかし、固定観念に似たイメージで物事を捉えようとする側面があるので、やはり間違った認知を引き起こす場合もあります。

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