最近リスティング広告の運用者になったけど、どこから改善に手をつけていいかわからないという運用者が多いかと思います。
改善案を考え出すためには、まず深刻にさせている一番影響度の高い問題点を発見することが先決です。
そういった視点を出発点として大前提はドリルダウンが重要。
ドリルダウンとは大きな視点からどんどん深掘りし、細かい視点に移っていくという分析技術のことです。
効果改善にはこのドリルダウンが大事なのですが、これだけだとうまく改善策にたどり着けないことが多いです。
じゃあどうやってスムーズに改善案を導き出すことができるのか詳しくご紹介していきたいと思います。
今回の方法は運用型広告に携わって6年目になる筆者が業務の中で日常的に行なっている考え方になります。
この考え方で業務を行うと改善策までスムーズにたどり着けるのでおすすめです。
なかなか広告パフォーマンス上の問題点すら気づくことができないと悩んでいるマーケターにぜひ読んでもらいたいと思います!
目次
アカウント改善ではまず全体像を見渡す
冒頭でも述べたとおり、広告パフォーマンスの改善策を導き出す大枠の考え、流れとしてはドリルダウンであることは絶対に覚えておいてください。
まず全体像から大まかな問題点を把握することです。
その時に心がけたいのが5W1H の思考の流れ。
コツとしては3Wで比較して、2Wで原因を考え、1Hで改善策を導く という視点を持つと問題点の発見につなげやすくなります。
僕の経験上、だいたいの原因は「成果の良い時期と問題となっている時期を比較すること(When)」からスタートしていくと見つけやすいです。
そしてそこから「Who(年齢や性別などどんな人に影響したか)」「Where(どの媒体,どのキャンペーン,どの広告グループ,どのキーワード,どの広告,どの地域,どのデバイス,どのプレイスメントなど)」の視点で具体的にどこに問題点があるのかを深掘りします。
問題点が上記のWhen,Who,Whoで浮き彫りになったら、「Why」を考えます。
「Why」で抽出した原因を深掘りしていきましょう。
ここでポイントがあって、以前に実施した施策が影響してないか?考慮することです。
つまり「What(何の施策を実施したか)」を考えていくということです。そもそも以前実施した施策は結果に対するインパクトが大きい可能性がありますよね。
レポートを作成する際は特にこのWhat(何の施策をやったか)からスタートするようにしましょう。
毎月のレポーティングで実行した施策がどうパフォーマンスに影響しているかを報告する義務があるし、クライアントもそれが気になりますよね。
もっと言うと「こういう施策をやりましたよ」とコミットした内容をちゃんと管理してくれているんだという信頼感にもつながります。→サイレントマジョリティの抑制にもつながる
これは別の表現をすると内部要因 を探ることとです。
なので問題の原因を探る時は下記のように内部要因(何の施策をやったか)を最初に考え、次に外部要因を考え ていきます。
外部要因とは例えば季節要因で効果が下がるということであったり、クライアントの商材がニュースか何かに取り上げられてビジネスと関係ない流入が増えたなどの可能性を考えるということです。
季節要因であればGoogleトレンドで調べられますし、ニュースの影響で流入が増えたならキーワードごとのボリュームの変化や検索クエリの確認、またはアナリティクスが見れるのであれば参照元メディアごとの変化もチェックしておくと外部要因を特定しやすいでしょう。
また、最近では企業が炎上するというリスクがあるのでクライアント側もSNSアカウントを活用するなどしていざとう時の炎上対策もしておきましょう。
そして最後に「How」で解決策を考えていくという流れで進めるとスムーズに改善策が導き出しやすくなります。
つまり問題発見から改善策立案までの流れをまとめると以下のようになります。
なにを問題と捉えるかで改善インパクトは変わってくる
パフォーマンスの悪化にもっとも影響している根本部分に近づけば近づくほど改善可能かどうか変わってきます。
図式化すると下記のようなイメージになります。
質とは改善インパクトの度合いという意味です。当たり前ですが、的確な問題発見が適切な施策立案(改善インパクトが大きい施策の立案)につながるのです。
インパクトのある改善策を考えるのコツ
先述したようにアカウントを見る際はまず全体像を見渡してくださいといいました。その上で比較することが重要でしたね。
そしてそれだけではなかなか改善策まで落とし込めないという人がいるかと思うので、一つコツを伝えるならば、数字的な問題点を発見したら次はユーザー目線で原因を考えるということです。
僕はこれをミクロ視点と認識しています。
よく数字的な問題点が見えているのにそこからどう考えていけばいいかわからないという人がいます。
そこでミクロ視点なんです。僕はこのミクロ視点で今まで随分と支えられてきました。これ本当です。いかにミクロ視点に立てるかがインパクトのある施策を考えるための必須とも言える思考です。
じゃあどうやってミクロ視点に立つの?ということですが、その一番の味方としては自分でカスタマージャーニーを想像し、それに沿っ多流れで広告のクリックからその商材を購入して試してみるというのことをオススメします。
昨今、ウェブ接客ツールがたくさん出ていますのでそちらを活用しても良いですが、どうしても有料のものが多いです。そういったあまりお金はかけられないという場合は商品を買って試して見るということが大事です。
クライアントの商品を利用して見てこんなことを感じたということと広告のパフォーマンスの悪化点とを紐付けていく作業をしましょう。
数字的な問題点を見つけたら次はユーザー目線で具体的な問題点を調査し、ユーザーの不満を満たせる改善案を考え始めるのです。この考え方が改善策を考えるためにはめちゃくちゃ大事な要素です。
施策を考える前に、ちゃんと問題把握できてますか?
もう一つ改善案を考える際にコツというか意識しなければいけないことがあります。これはよく見落としがちなパターンなのですが、ほんと気をつけましょう。
それは問題調査 をしっかりとやっていくことです。
なんだそんなことかよ、問題把握なんてそんなの当たり前じゃんと思うかもしれません。
いや、でも考えてみてください。今一度自分の経験を思い出してみると意外としっかりと問題点を特定しきれていないまま、自分の憶測や直感などで問題点を決めつけていませんか?どうですかね?
確かに広告パフォーマンス上の本当の意味での問題点を特定することは時には手間のかかることかもしれないですし、自分の今までの経験や直感にしたがって調整をかけていくという方針は重要です。
でもそればかりだとユーザーのトレンドが移り変わりやすい今の時代の中で直感や経験などで判断にたよりすぎてしてしまうのは命知らずと言わざるを得ません。
すぐに新しい技術やテクノロジー、ユーザーのトレンドの更新が激しい今のウェブ業界だからこそ、本当の問題点はどこにあるのかを自問自答するように心がけたいものです。
それだけでも随分結果は変わってくると僕は考えています。
直感や憶測が多めになってしまうと的外れな施策につながって、結果的に改善スピードが遅くなってしまうリスクも高まります。
それにそんな直感や憶測が多めな理由のままだとクライアントにも説明しづらいですし、最終的に困るのは自分という虚しい結末になってしまいます。
施策立案はあくまで仮説を実証するための作業であるということ
最後に何を言うんだと思われるかもしれませんが、今まで説明してきたことは実は全て仮説です。なんなら今回の5W1Hを使った改善策立案までの手順も最善かどうかと言われればあくまで仮説です。僕の頭の中の想像でしかないですし、正解なんてないんです。
それより大事なのは成果を出せる手法を見つけられるような変化をし続けるということ。常に同じ方法で成功できるほど世の中甘くはありません。
少し余談かもしれませんが、以前まではリスティング広告は顕在層に向けて広告を出せる効率的な手段でした。ですが次第に競合他社も増えてきてクリック単価が高まってきたことで、昔より効率的に成果を上げることが難しくなってきました。
このようにして新しい手法が出てきてもいずれ効率が悪くなって費用対効果も悪くなりがちです。なので常に新しい手法を模索し続ける思考はとても重要なんです。
だからこそ早く手を打ってPDCAをより早く回して真実に近づくことが重要なのです。その一つの手法が今回紹介した5W1Hになってくれればと思っています。
自分が変化し続けること。これこそが成果を出し続ける本質だと思います。