日本人選手はいつ世界選手権の決勝に進むことができるのか。
陸上競技ファンにとってはかなり気になるところだと思います。
筆者自身も、かなり気になってきています。
それは2107年に東洋大学の桐生祥秀選手によって、9秒98という日本記録更新という偉大な瞬間を知ってから、さらに100mという種目に興味をもち始めました。
陸上ファンでなくても、「日本人が9秒台!?」というニュースを聞いて驚きを隠せなかったはずです。
100mという種目で、いつか日本人が世界の舞台で決勝まで進むところを、ぜひとも見てみたいという期待を膨らませたに違いありません。
そこで今回は日本人選手が100mにおいて、世界の舞台で決勝に進む可能性についてと、そもそも100m9秒台という記録が世界的にどれほどすごいのかを考えていきたいと思います。
世界で9秒台を達成した選手は、やはり一流
世界的にみても100mを9秒台で走り抜けた選手はまだまだ多くはいません。
その意味では9秒台という選手は一流の証であり、100m選手であれば目標の1つとして掲げていることだと思います。
結論からいうと黒人以外の選手で100mで9秒台を達成した選手は歴代でみても世界で数人しかいません。
なので、黄色人種で9秒台の選手というのは極めて稀なケースと言えます。
筆者が知る限り、100m9秒台を記録したことのある選手といえば、フランスのルメートル選手(9秒92)と中国の蘇炳添選手(9秒99)。そして桐生祥秀選手の3人です。
黒人を合わせると9秒台の選手はこれまでに120人ほどいます。
しかし、人類が誕生してから700万年という長い年月の間に100mを9秒台で駆け抜けた選手が120人ほどで、さらに黒人以外では3人しか100mで10秒の壁を破った選手がいないのです。
なので100mを9秒台で走れる選手は偉大であり、一流と呼ぶのにふさわしいレベルと言えます。
桐生選手だけじゃない、世界の決勝に進む可能性の高い日本人選手たち
日本人選手の中でも記録的に考えて最も早い選手は先ほども紹介した桐生祥秀選手(9秒98)です。
しかし、近年、日本人スプリンターのレベルが徐々に上がってきていて、100m9秒台を出す可能性のある選手が複数存在しています。
現在、日本人スプリンターの中でメディアに取り上げられたり、陸上専門雑誌などでも期待を寄せられている有力選手は山縣亮太選手(セイコー)やケンブリッジ飛鳥(Nike)、多田修平選手(関西学院大学)、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手(フロリダ大学)とたくさんいます。
どの選手も若く勢いがあり、ベストな環境でトレーニングできていると考えられます。
選手としてのポテンシャルも含め、どの選手も9秒台の期待がかかっていています。
さらに近年ではスポーツ科学の発展によって、トレーニングの質が向上しています。
トレーニングの質が向上したことで、より記録につながりにくい無駄なトレーニングが見直され始めてきている流れがあります。
昔のような、「練習中に水を飲むな!」や「がむしゃらに沢山トレーニング量をこなす!」などのような根性論のうような考え方は薄れてきていると言うことあり、合理的なトレーニングができる環境に日本は変わってきているところがあります。
特にサニブラウン・アブデル・ハキーム選手は多くの一流スプリンターを生み出しているアメリカに渡り、修行を積んでいる最中です。
もちろん日本でも自分の能力を高めるトレーニングはできるでしょうが、アメリカは日本と比べて世界で活躍している優れた選手を多く輩出しています。
そういう素晴らしい経験をしている選手たちからの刺激は、何よりも自身の100mに活かせる部分が多くあり、学びが大きいと考えているのでしょう。
変な話、トレーニング論や練習方法などは日本でも学べますから。
そういう選手たちと、じかに触れ、レベルの高い環境で実戦経験を積んでいくことに意味があるとサニブラウン選手はわかっているのかもしれません。
桐生選手も元オリンピック選手の土江コーチのもと、実はサニブラウン選手のように、積極的に海外レースに参加し普通の日本選手では経験できないようなことを沢山学んだに違いありません。
結果的に9秒台という大きな目標を達成できたわけですから。
9秒台を出して世界の決勝に進めなかった選手は今までに誰もいません。
なので、このまま日本人選手がレベルの高い状態を維持し、今年・来年で9秒台を記録すれば、世界で8番以内に入れる日がそう遠くわないかもしれません。
そういった日本人選手同士の切磋琢磨ブームと相まって、東京オリンピックでは地元の声援も力に変える事ができれば、日本人選手が決勝の舞台に立つ事ができるのではと個人的には考えています。
今陸上競技を一生懸命取り組んでいる読者の皆さんも、そうやってなるべくレベルの高い選手と一緒に練習してみるだったり、レベルの高い試合を見に行ってみてください。
レベルの高い環境を体験していくと、自己ベスト更新のために、ありとあらゆる手段を試すためのやる気がみなぎってきます。
そのモチベーションは、なにより陸上競技を楽しむという姿勢を作り上げます。