2018年のアジア大会がジャカルタで始まりますね。
それに伴いアジア大会では陸上競技も開催されます。
日本の陸上競技は近年100mが注目を集めがちですが、伝統的に好成績を収めている種目といえば4x400mリレーですよね。
2008年の北京オリンピック(銀メダル)、2016年のリオデジャネイロオリンピック(銀メダル)、世界陸上ロンドン(銅メダル)でメダル獲得に成功しています。
日本は今の所、個人種目では世界と比べて劣っている状況が続いていますが、400mリレーにおいては過去の実績でも今の日本の選手たちをで見てみても、今後世界での活躍が楽しみな種目の1つです。
今回は日本の4x400mリレーがなぜこんなに強いのか?を考察していきます。
近年、日本の個々の走力が伸びてきている
個人的には400mリレーが伸びて来た一番の背景が個人の走力が向上してきたことにあると考えています。
ジャカルタのアジア大会でもリレー候補と予想されるのは山縣選手(100m自己ベスト:10秒00)、桐生選手(100m自己ベスト:9秒98)、ケンブリッジ選手(100m自己ベスト:10秒08)、飯塚選手(100m自己ベスト:10秒08)、多田選手(100m自己ベスト:10秒07)、などなどど10秒0台の記録を保持している選手ばかりです。
ちなみに、サニブラウン選手(100m自己ベスト:10秒05)は今回は怪我により出場しない可能性が高いです。
もちろん今後も10秒0台、もしくは桐生選手のように9秒台を出す有望な選手が現れる可能性はあります。
昔であれば、現役で100mを10秒0台以下で走れる選手など、4人も5人も同じ時代に揃うことなどありませんでした。
2000年代においては、北京オリンピックでメダルを獲得したメンバーでさえも、当時現役で100mを10秒0台で走れる力を持った選手は朝原宣治選手(100m自己ベスト:10秒02)、塚原直貴選手(100m自己ベスト:10秒09)ぐらいだったでしょう。
末續選手(100m自己ベスト:10秒03)もいましたが、彼の全盛期は200mで銅メダルを獲得した期間を含めた2001年〜2005年あたりと考えられます。
ですから、2008年の北京オリンピック当時はさすがに末續選手は10秒0台で走れるような走力は持っていなかったでしょう。
ですが、今は10秒0台以下で走れる速い選手がたくさんいますし、今後も新たな選手が出てくるでしょう。
そうやって速い選手が次々と出てくることによって、各選手が切磋琢磨もしますし、競争し合うことによって必然的にリレーのタイムも上がりやすくなります。
そうなると世界でますます日本のリレーが活躍の場を増やしていけると考えられます。
アンダーハンドパスがタイム短縮に貢献
日本の400mリレーが世界で活躍できている理由の2つ目の理由としてはバトンの受け渡し方法にあります。
通常であれば、下記画像の右のイギリスチームのように、次の走者に上からバトンを渡すオーバーハンドパスを採用するのが一般的です。
オーバーハンドパスのメリットそしては受け取る側が手のひらを大きく開いて受け取りやすくなるので、バトンを落とすリスクを減らせる、私やすいということがメリットです。
逆にデメリットとしては、受け取る側が手を大きく後ろの伸ばすことになるので体が開きやすくなりきつい体勢になってしまうことです。きつい体勢でのバトンの受け渡し中はスピードがあまり出せないことがデメリットです。
一方でアンダーハンドパスとは、先ほどの上の画像の左の日本チームのような受け渡し方法です。オーバーハンドパスと違い、下からバトンを渡す方式です。
アンダーハンドパスのメリットとしては下からバトンを渡すので、本来の走る体勢をあまり崩さずにバトンを渡せるので、スピードが落ちにくい点にあります。
デメリットとしてはアンダーハンドパスは両方の走者が、かなり近づかないと自然にバトン受け渡しできないので、お互い衝突するなどの理由でバトンを落とすリスクが高いことが挙げられます。
そういったデメリットがありつつも、アンダーハンドパスはスムーズに渡すことに成功できればバトンの受け渡す中はスピードをあまり落とさず走り続けることができるので、リレーのタイム短縮に繋がります。
日本はこのアンダーハンドパスのおかげで、アメリカなどの黒人選手しか選出していないチームといい勝負ができる、または勝てる要因であると考えられます。
日本ほど他国のリレーに対する注目度が低い
実は他国では日本ほど4×100mリレーに注目がいっていないというのが現状です。
例えば、アメリカの陸上競技業界の中ではリレーに対する注目度があまり高くありません。
そのため、バトンパスの練習をする暇があったら100mなどの個人種目の記録向上のための練習をさせろという考えでいます。
やはりアメリカは集団主義より個人主義を重んじる国民性があるからというのが背景にありそうな気がします。
そういった意識の違いが、リレーでバトンを落とすなど(下記画像は2008年の北京五輪においてアメリカがバトンを落としている…)、バトンの技術に影響している可能性があります。
日本はアメリカなどの個人種目が強い国と違い、個人種目においては個々の力があまり強くはなく、メダル獲得もほとんどありません。
であれば、メダル獲得の期待が最も高い種目といったらリレーなのです。
日本は定期的に優秀な選手たちを集めてリレーの練習をしているほどリレーに対して力を入れています。
それに日本は個人よりも集団で成功しようという国民性が他国と比べて強い傾向にありますから、考え方としても日本人向きなところがあると思うので、400mリレーに対して力を入れているという部分があると思われます。
もちろん100mや200mなどの短距離においても、中国勢が100m9秒台をバシバシ連発している背景があります。
日本も「我が国も負けてられない!」と意気込んでいると思われるので、リレーだけではなく個人の走力を上げていく方向性にも考えられ、日本陸上競技連盟も選手の強化費用を今後多く出費する可能性もあります。