〔書評〕「君の膵臓をたべたい」2017年夏に映画化決定!運命の出会いなんて存在しない。全ての出会いは自分で選択しているから必然。

君の膵臓をたべたい。インパクトのあるタイトルです。

僕は小説というものを読んだことが今までありませんでしたが、初めて読んでみてめちゃくちゃ面白いですね。

 

で、昨日読み終り、せっかくなので書評記事にしちゃえということで今回書きます。

もちろん、本の内容についてはあんまネタバレしないように書いていきます。

ヒロインは膵臓を患っている女子高生。「君の膵臓をたべたい」のストーリーとは。

性格が全く正反対の同じクラスの男女の話。ある日主人公の少年が病院の待合室で偶然一冊の日記を見つける。その日記のタイトルは「共病日記」と書かれていた。その日記の持ち主である同じクラスの山内桜良は共病日記の秘密を明かしてしまう。それは膵臓の病気を患って以来、彼女が自身の日常を綴っている大切なノートだった。

家族以外の誰にも病気のことを打ち明けてはいなかったが、少年に見られたことをきっかけに自分の余命があと一年半であることを暴露する。

友達は小説で、人との関わりを遮断することで自分を作り上げてきた少年と、人との関わり合いによって自分という人間を築き上げてきた少女。全く正反対の二人が出会い、不思議と仲良くなっていく。

次第に二人の仲は深まっていくが、桜良の膵臓の病気によっていつか死んでしまうことがネックになり、桜良と少年は友達でもない恋人でもない関係がしばらく続く。

人の命はいつなくなるかわからない。そういう意味では病気を患っても、健康的でも命の価値は平等と捉えられる。病気を患っているからといって、その人の命の価値が高まるというわけではない。健康的だからといって病気で苦しんでいる人より命の価値が低くなるわけでもない。

ある日、そういうことを助長させるような事件が起き、少年の日常が一変する。

君の膵臓をたべたい。印象に残った場面

物語が進むにつれ、主人公やヒロインからいろいろなキーワードが出てきます。その中で、僕が印象に残った場面や重要な言葉をお話ししたいと思います。

周りとのかかわり合いで、人はできあがってる。

このストーリーは全く正反対の性格を持っている高校生の男女が仲を深めてく様子が描かれています。

特に僕が納得させられる印象深い場面は、ヒロインの女の子が人との関わり合いを持とうとしない少年に対して放った言葉でした。

それは人間というのは他者がいないと意味がない。自分を見てくれる人がいてこそ自分という人間が成り立つというようなことをしゃべっている場面があり、それがとても印象的でした。

女子高生ながら、こんな哲学的な言葉を口にするのはすごいと感心しつつも、パラパラと読み進めていきました。

大切な人とのつながりは、奇跡ではなく必然という捉え方に共感。

この小説の中でヒロインと主人公が自分たちの出会いについてしゃべる場面があるのですが、その時のヒロインの言葉が印象深かったので紹介します。

私たちは、皆、自分で選んでここにきたの。君と私がクラスが一緒だったのも….偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私たちを会わせたの。私たちは自分の意思で出会ったんだよ

これを読んで、生きている限りは偶然なんてないという捉え方が好きになりました。

あなたは運命や奇跡を信じますか?ぼくは今まで信じています。でも、それがすべてではない。恋愛なんかでいうと、運命の赤い糸は存在していて、普通に生きていれば運命の人と勝手に繋がれると。ネガティブな話ですが、例えば事故で怪我をしてしまうということも、自分の意思がそこに向かわせてしまったのです。

そう考えると偶然や奇跡やコントロールできるかもしれませんね。まあ、それをコントロールできたら偶然や奇跡ではなくなりますけども。

でもそんな考え方に切り替えることができれば、自分があの時、行動すれば得られるはずだったものを、躊躇や先送りによって、どれだけ手放しにしていたかわかると思います。

「君の膵臓を食べたい」。自分の人生と照らし合わせてながら読んでみると、より興味深くなると思います。

自分の残りわずかな余命を自虐しているのが、不謹慎ではあるがクスっときてしまう。

「君の膵臓をたべいたい」のヒロインの女の子は非常に明るい性格の持ち主です。
僕自身と比べても対極にあるような感じがして、読んでいて羨ましい性格だなと思いました。

その明るさが空元気とかではなく、残り少ない命を精一杯生きるために自然に出てきた、生命力のようにも感じられました。

明るい性格が余命一年を自虐ネタにしてしまうほどです。笑っていいものなのか困り果てるのですが、不謹慎ではありますが小説なんで笑ってやりました。でももし、僕の友達がヒロインと同じ状況の人間で、その余命一年を自虐ネタにしてきたら笑ってあげる自信はないですけどね。

ヒロインの女の子と主人公の男の子が一緒に焼肉を食べるシーンがあります。この場面が僕的に不謹慎だけどクスっときたところです。

ヒロインの女の子自身が膵臓の病気なのに焼肉デートで、好きな食べ物の話でこんなことを言っていました。「私、好物を訊かれたらホルモンて答えるよ。好きなもの、内臓!

そしてそれを聞いた主人公はすかさずこう言います。「胸を張られてぼくはどう言えばいいのさ」

このように物語の前半くらいまで、クスクスと笑える場面があります。人によると思いますが、病気と闘い、人生を精一杯生きる系の物語で、そういうユーモアがあるのが個人的に好きでした。

君の心臓を食べたい。

2017年の夏に映画化されるらしいので、映像でもぜひ見てみたいですね。

ちなみに映画のヒロインとつとめる浜辺美波さんは僕と同じ石川県出身ということで、すでに映画に対して親近感がわいています。

非常に楽しみです。

 

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