「なんでいったことができないの?」
「ちゃんと反省してんのかよ」
「お前が原因でこうなったんだぞ」
上司や先生など、上の立場の人はついつい言ってしまっていると思います。でもこれって相手のためには全然なっていません。むしろ言われた方はモチベーションを失います。
これをアドラー心理学では勇気くじきといいます。ではなんでダメなのでしょうか。
今回はこの勇気くじきがなぜダメなのかを心理学の知見に基づいた、分かりやすく説明したいと思います。
勇気くじきの反対の考え方はこちらの記事「【勇気づけ】アドラー心理学の勇気づけで、ネガティブな自分にさよなら!」で紹介しているのでご参考に。
弱い人ほど勇気くじきをする
勇気くじきの言葉を言われた方は相手に対して苦手意識を持ちます。
表情では何ともないように見えても、本心では強烈な落ち込みと、やる気の低下をもたらしてしまうものです。また、困難を乗り越えようとする勇気も奪ってしまいます。
これらのことを人を管理する立場の人たちは相手の為だとか言って、平気でやっているわけです。
勇気をくじいた側は正しいことを言っているようで優位に立てているように見えます。でも実際アドラーが考えるのは「勇気をくじく人は弱い人間がすることだ!」と言っています。
どういうことかというと、勇気くじきをする人は原因は自分ではなく相手にあるとして責任逃れをしていると解釈できるからです。
つまり、めちゃくちゃ悪い言い方をすると「勇気くじきをする人は自分で困難を乗り越えられない、乗り越えようともしない情弱人間だ」ということです。なので、たとえあなたが上の立場の人に勇気をくじかれていたとしても、そう考えていれば物事を冷静な考えで判断することができるはずです。
ときどき、長時間叱りつける勇気くじきをしている人がいますね。人間の怒りは、怒れば怒るほど増幅し、感情的になっていくわけです。これを心理学では怒りのエスカレーションと言います。そんな自分を抑えられない感情的な人間に正当な教育などできるはずがありません。
叱るのであれば、時間は短いのがベストです。
しかし、少なくとも「相手を否定する暇があったら、今後どうすべきかを一緒に考えていくべき」です。
原因の追求は勇気くじきの一つ?
「なんでこうなったの?」
「こうしちゃいけなかったの分かるよね?」
このことをアドラー心理学では「なぜ問い」といいます。
実はこれも勇気くじきの一つです。このようにアドラーさんは過去の原因を探る原因論を強く否定しており、相手にマイナス影響しか与えないと指摘しています。
ではなぜ過去を探ることは相手にとってマイナス影響なのでしょうか?理由は簡単です。
何か失敗して過去を振り返ったとしても、目的に立ち向かう勇気は生まれないからです。どんなに後悔していて、変えられない過去のことを思ってもどうしようもできないというわけです。
また、勇気くじきに関してよくあるパターンが「自分をなぜ問い」することです。失敗について、責任は自分にあるとして「どうしてこうなった?」と自分を責めます。
これは自分の勇気をくじいていると言えます。
他者に対しても自分に対しても勇気くじきをしないようにしましょう。誰も得しません。
